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古い造りの、一軒家。
そこにあるお茶の間を、縁側から覗き込めば――

「…あ、ようこそなのですっ!今お茶を入れますので…一寸待っていて欲しいのです♪
それと、よろしかったら…いっしょに札あわせみたいな遊びをするのですよ!」

緑色の変った和服を着た、小柄な少女が駆け寄ってきた。
尖った耳を揺らして、小首を傾げながら――満面の笑顔で問いかける。
次第にちゃぶ台を真中に据えて、家族が集まり始める。
座布団が敷かれ、先ほどの少女が座るように、手で促している。

続いて、黒装束を身に纏った、赤毛の男が台所から現れた。
手にはお盆に乗せられた、お茶とお茶請け。
それを手馴れた手つきで差し出しながら、不慣れな発音で横文字を口にした。

「――あのな、UNOっつー遊戯と似てるんだと。オレは良く知らねーけどな?」
そんなのどーでもいいじゃんよ!
ねぇねぇ、ぜーったい楽しいよ。一緒に遊んでってよ!!僕が保証するって!

「おい、声がでけぇよ…」

突如顔を出した白髪の小柄な少女は、子供の様に無邪気にはしゃいで。
けたたましい声で話しかけてくれば、袖口を軽く引っ張ってくる。
期待に紅い瞳を輝かせながら、有無を言わさない勢いだった。

「客人に強要するな。――遊戯など、遣りたい者がやればいい…違うか?」

そんな家族の様子を、上座に座って腕を組んでいた男が、横槍を入れるように言葉を紡ぐ。
何故か不自然に犬の尻尾が生えており、緩やかに揺れていた――が。
それは、襖が開く音によって、たちどころに停止した。
ついでに、眉間に深い深い――鴉の爪跡。心底不愉快そうな表情で、視線を逸らす。

後ろ手に襖を閉めながら、悠然と歩いて来た――…蒼い和服の、鬼の女性。
口角を持ち上げれば、上座に居る男へ緩い笑みを浮べる。
男は盛大に睨みつけるが、それを尻目に遠雷の元へと歩み寄る。
鬼は、少女の肩にそっと手を置くような体勢で此方へ向き直れば、双眸を細めて真っ直ぐ見遣った。
嫌に綺麗な微笑というのは、こういうものを言うのか。

「折角遠雷さんが、誘ってくださっているのですから……遊んで行きますよね?」

素直に言うことを聞かないと以下略。
何か不穏当な単語が、鬼の口から洩れた気がした。

暫しの沈黙。
暫しの間。
そんな重い空気を打破するように、遠雷は何度も頷いて、声をかけてくる。
手にはちゃっかりと、例の絵札を持ちながら――やる気満々の表情で。

「え、えと…折角ですし、肩の力を抜いて楽しんで欲しいのですよ?」

陽当たり良好なお茶の間は、ぽかぽかとした日差しと…元気な笑い声で溢れている。
――時折生温い空気も漂ってはいたけれど。
人物紹介
<遠雷>
普段は明るく元気な印象が強く、何事も一生懸命取り組む。基本的に前向きで、努力と根性が信条。
ついでに方向音痴で、頑固。唐草風呂敷を背負っている事が多い。
おっちょこちょいな面があり、努力が報われず空回りしていることも多いとか。
デバガメと肩揉みが大好きな、碧龍の巫女。――但し、無能でヘタレ風味。今日も垂れ耳が上下する←?
<炬>
自分勝手に見えるが、結構陰で周囲のヒトに気を配っていたりする。
口と目つきは悪いが、面倒見も良く、不良というより兄貴的。ついでに苦労人。
表面上の付き合いはこなすが、心底信頼するまでには時間がかかる。
家事と賭博と小動物が好きな、巫女のサポート役の鴉天狗。割烹着姿での家事労働、その姿の評判はイマイチ。
<寒雷>
元気が良くガキ大将状態。結構しっかりもので面倒見が良い上、好奇心も旺盛。
義理と人情という言葉が好きで、受けた恩は決して忘れない義理堅い性格。
表に出る表情が目まぐるしいが、頭の回転は良い為、結構裏で冷静に物事を見ている節も。
イタズラ大好きな、遠雷の親友兼サポーターな鴉天狗。ごはんまーだーといいつつ茶碗を叩く日々。
<颪>
真面目で、常に冷静。感情の起伏は乏しく、無機質な印象を与えるかもしれない。
但し、キレると手がつけられない。表情変化は殆どないが、感情は尻尾に現れる為に嘘も吐けず。
何事にも無頓着な感じだが、好き嫌いははっきりしている。嫌いなもの(特に夜都)は排斥思考。
占術に長けた、社と巫女を見守る狛犬。――怪しいキノコの研究に、日々没頭している。
<夜都>
自由気侭な浮浪雲。揉め事や仲違は余り好まない性質。本来は熟考型なのだが。
博愛主義では無いが、友人は大切にする様子。取り分け遠雷とその姉に恩義を感じているので、過保護。
自分に正直が一番と思っているが、なかなか大事な本心は伝えられない、素直になれないところも。
からかう事、豆腐とお酒と日本刀が好きな、鬼に為った者。無駄口を叩く事に長けている(…)。
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